交通事故用語集交通事故被害の諸問題を解決します。

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自動車損害賠償責任保険基準
通常自賠責基準と呼ばれます。車両を保有する人は全員加入が義務付けられているため、保険料を低廉に抑え、被害者に対する必要最小限の賠償を確保することを目的としています。物損に対しては、保険金は給付されません。ただし、被害者側に重大な過失がない限り過失相殺が行われないなど、被害者に有利な点もあります。
任意保険基準
任意保険の保険会社が賠償金額を算定するときに使用する基準です。法律上の根拠があるわけではありませんが、内部基準として各保険会社が作成しており、保険会社によって若干の差異があります。保険会社は通常この任意保険基準に基づいて賠償額を算出しています。
裁判基準
裁判になったときの損害賠償額算定基準です。判例の積み上げによって作られた基準で、日本弁護士連合会作成の損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)が基になっているため、赤い本基準と呼ばれることがあります。賠償金額は、通常最も高くなります。弁護士は、裁判基準による損害賠償金額の獲得を目指します。
消滅時効期間
① 短期消滅時効期間(5年)
改正後の民法では、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の期間を被害者が損害及び加害者を知った時から3年とする規定(民法724条1号)を維持しつつ、人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権については、特例として時効期間を5年に伸長しました(民法724条の2)。そのため、改正民法では、交通事故よる損害賠償請求権の時効期間は、人身については5年、物損については3年となります。

② 長期消滅時効期間(20年)
不法行為の時から20年間の権利消滅の規定については、除斥期間と解する判例が主流でしたが、改正民法においては、消滅時効とされました(民法724条2号)。改正民法施行後は、20年間の権利消滅規定についても、時効に関する原則が適用されるようになります。

③ 交通事故実務に対する影響
改正後の民法においては、短期消滅時効の期間は、人損については5年、物損においては3年となります。両者の間に差異が設けられたことに注意しなければなりません。また、改正民法においては、20年間の経過による権利消滅規定についても時効の諸原則に従うことになります。例えば、事故から長期間経過した後に後遺症が発生した場合、後遺症が発生した時が時効期間の進行起算点となります。時効の中断や承認についても時効に関する規定の一般原則に従うことになります。

④ 民法改正前の事故
民法改正前(2020年3月31日以前)に発生した交通事故については、旧民法の規定が適用されることになります。

<参照条文>
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第724条の2
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。
後遺障害等級
交通事故後遺障害は、1級から14級までの14段階に分類して、損害保険料率算出機構が認定します。損害保険料率算出機構の認定は、絶対的なものではありませんが、等級は多くの場合裁判所によっても尊重されるため、適切な損害賠償を得るためには、適切な等級認定を受けることが重要です。
症状固定
治療が一応終了したと認められる状態を指します。症状固定時点で、後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級の認定を申請することになります。症状固定後は、治療費は原則として請求できなくなりますので、症状固定・後遺障害診断書作成をどの時点で行うかは、慎重に検討する必要があります。
休業補償
交通事故の結果、休業を余儀なくされ、発生した減収に対する補償をいいます。
逸失利益
交通事故がなければ、将来得られたであろう給与等の損害をいいます。
中間利息控除
将来の収入を現在得た場合、現在から実際に収入を得るはずであった時まで利息が発生します。したがって、将来の収入を現在得る場合、利息相当額を控除しなければなりません。利率は法定金利の年利5%で計算することになっています。現在低金利時代が続いており、実際には年5%の金利を得ることは困難ですが、裁判所は、将来の金利変動は予測できないので、歴史的標準である5%で計算すべきであるという立場をとっています。10年後の100万円の収入を現在先取りして得ると61万3913円となります。61万3913円を年利5%で預金すれば、10年後100万円になります。現在の61万3913円と10年後の100万円は等価であるとみなされるわけです。
ライプニッツ係数とホフマン係数
中間利息控除を複利計算で行ったものがライプニッツ係数で単利計算で行ったものがホフマン係数です。単利計算のホフマン係数のほうが賠償金額は高くなります。判例は、いずれの手法で計算するか分かれていましたが、現在はライプニッツ係数によるものが主流です。
過失相殺
被害者側にも過失がある場合、その割合に従って、賠償額が減額されることになります。通常5~95%の割合で5%刻みで認定されます。過失相殺の割合認定に際しても日本弁護士連合会作成の損害賠償額算定基準(赤い本)は重視されます。
素因減額
被害者側にもともと持病があったり、後遺障害が発生しやすい体質があり、これによって被害が拡大していると認められる場合、過失相殺と同様に相当額の賠償額が減額がなされます。これを素因減額といいます。